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左手C、では右手で何を弾く?

重音の発想を鍛える。鍛えると言うと仰々しいか。自分の音楽力を広げ深化させるために僕はこう言うことを考えます。 良いところは場所を選ばないことです。電車の中でも良いし、下手をすると仕事中でもふと考えが湧くことがある。大切なことはこの後Any Keyで考えることなのですが、これをやるとやらないではその後の音楽の広がりと応用が違ってくると思います。自戒を込めて言っているのです。僕は大変な面倒臭がりで、こう言うことを疎かにするタイプだったので。若い頃に徹底したこれに近いテクニックとしてはピアノのハノンの1番を毎日Any Keyで弾くと言うものです。早めに弾くと12分くらいでしょうか。大体15分程度で終わった記憶がありますが、これは指の均一性を高める効果がありました。さあ、左手で低域のCを弾いて音が延びています。右手で弾きたい音は何でしょう? 重音とは2音を同時に鳴らす、言うなれば和音の最小単位とも言うものです。たった2音であってもその選択によっては、十分にイメージを表すことが可能です。弾き方もありますし、左手と右手のバランスをどのように持っていくかと言う演奏上のポイントもあります。どうしても音数を多く使いたい悪癖が治らない僕ですが、こうしたシンプルな重音を想定することは日頃手癖で弾いてしまう、気分で弾いてしまうことに対する警鐘にもなります。 Cを弾いた時、僕が弾く音は大体はF#です。 これが正解というわけではないです。そもそも音楽には正解はないわけですから。先ほどYoutubeでバッハはこう弾くべし!というのがアップされておりましたが、理屈も分かるし、その内容が正しいことことも分かる。でも、別に良いじゃん!自分なりで、、。と思うわけです。そんな考えなので音大当時の試験で弾いたバッハの点数は優秀じゃなかったわけですが。でも落第点ではなかったし、当時の恩師からも特に否定的な意見はなかったです。ただ、こうも言えるのかも知れない。一応基本をしっかり押さえてそれを捻った演奏と、最初から好き勝手に弾いたものでは、何か肝心なところが違っているであろうと思うわけです。今では、しっかりと押さえておく。然るのちに自由に崩していくと。そのように考えるべきなのかな、と思っております。またまた脱線してしまいましたが、何故に僕がF#を弾くのか? これももまた何となく好き勝手に弾いているのではないからです。

F#を弾く下地があります。 それはコードとモードを意識していることになります。 コード=D7

モード=Cリディアン モードはマイルスが作り上げた音楽の新しい規範ともいうべき、一つのルール、音の使い方を言います。モードをよくスケールそのものと言い切る方がおられますが、そういう面は確かに強いですが、違います。和音を一つ弾いてもそれがモードとして使われているのであれば立派なモードと言えます。モードには基本となるスケールがあり、そのスケールを構築する音の組み合わせと鳴らし方によって音楽を進めます。上記のCリディアンとは、、

C D E F# G A B C このようなスケールとなりますが、モードスケールには特性音というそのモードたらしめている音があり、Cリディアンの場合それがF#になるわけです。上記のスケールを基にインスタントコンポーズし、またバッキングする場合はこれらの音を自分のセンスで組み合わせてヴォイシングすることになります。 僕がCを左手で弾き、右手でF#を弾いた背景にはこう言った音楽的な意味合いが含まれています。

このように何か一つの音がそこに在った時に、呼応して何を弾くかというのは自分にとって大切なテーマなのです。そこには限りないテスト(破壊と再生)が必要ですが、自分にとってはそれが限りなく楽しい。音楽の数理的な一面、パズル的な一面を見るようです。

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