top of page

NULL

新曲「NULL」完成は昨日、2024年7月20日。

思い返すと、ここ数年この非常に筆の遅い?私が実は新曲ラッシュなのである。前回ライブで演奏した「紋様」や、昨年9月から演奏している「ツララ」もそうだ。また「記憶」「パノラマ」のアレンジをやり直すということもした。 ただ、この新曲達が本当の意味での”まっさら”のものかというとそれは違う。 紋様のテーマBは、FLAT黎明期のパノラマの展開部で使ったものであり、更にそのコード進行は、音大に入りたての頃、考え出したものになる。あれほど一人っきりだった時代もない!という程の孤独な毎日だった。この暗がりから生まれたコードプログレっションのカタマリはいくつかある。自分が最も好きなカラー「水色」を限りなく純度を高めて行った結果捻り出されたものだろうか。スキルを持ち合わせないので全てが8小節程度の投げやりな素描ということになる。音の欠片達は長く心の底にあり、気になっていたので、ふとしたことで使ったということになる。パノラマの展開部は、今ではもっと音楽的な内容に変更され、このパートは紋様に移植されたわけだ。 そして、ツララの中盤に出てくるAM7からスタートする中間の挿入曲は高校時代作曲したもの。歌詞を付けて歌モノにするようなライン。若い頃の自分が力だけで押し切ったような、恥も外聞もないセンス。それが初々しくて目を開けていられないくらいに眩しい。今書けないタイプであるなら、それこそ使うべきでしょう、という判断。よく周囲から言われる。

メロディをかけるくせに、、書かない!って、笑



でもそれは「書かない」ではなくて「書けない」が正しい。タイプスリップしなければならなくなる。

さて話は脱線したが、このように私という作曲家は、切り貼りの人なのである。 パートをそのまま、持ってきたり、抜けたところに過去に作っておいたフレーズを思い出して入れたり。一筆書きということはまずやらない。そういうモーツァルトみたいな才能はゼロということだ。 ゼロと言えば、このNULLってタイトルがそういう意味になる。

そもそも無とかゼロとか、下手すると価値のないとか、、笑 しかし、言い得て妙だ。

作品に、いつもの心象風景的なものはないし感情的なところも希薄だ。心底、音を突き詰め磨いただけであり、そういったことで言えば、まさにテーマ性を排除した無と言える。 聴いて、感じて欲しいのは、音であり音列であり、屈折しまくったリズムになる。 遅く登場する5拍子のテーマが妙に躍動感のある明るい色調ではあるけれど。 とにかく、演歌調にならない、泣きの入ったコード進行は絶対に使わない。徹頭徹尾、メシアンのように、リゲティのように、バルトークのように、でなければザッパのように、最初から最後のエンディングまで、天然カラーで高速回転する万華鏡みたいなもの。

あれ?イメージらしきものはあるのかしら、、笑

NULLの特長はむしろリズムの方にあるかも知れない。ただ単にイレギュラーなリズムを羅列するのではなく、アンサンブルに二重の割り方を用いてこの作品だけが持るキャラを演出する。音楽を数理的な側面から詰めていくと、感情的なことであれ、イメージ表現であれ、正確な再現性を可能にするのではないだろうか。数値は一見冷たい世界に感じられるが、実際は温もりを持つものなのかも知れない。

Comments


bottom of page