飛び道具というと、戦力的にゲリラ的な匂いがする。しかし「どうしても使いたいツールとして、ピアノ以外に何かある?」と聞かれれば、迷わず「サンプラー」と応える。FLAT122・1stアルバム『THE WAVES』リリース時と言えば、丁度ドラムの田辺君が入った頃だが、アルバムにはこのサンプラー色がしっかり出ている。 使用していたのは「YAMAHA/SU200」になる。
池袋の石橋楽器店がまだパルコに入らない、ヤマダ電機(当時は三越デパート)の裏のビル地下にあった頃、そこで衝動買いしたもの。
ライブでもレコーディングでも大活躍だったのが、いつの間にか作品主義、楽譜で追い込みするバンドの手法に追いやられて、部屋の片隅で惰眠を貪る形に。
もう一つの原因は、このサンプラーに鍵盤がなかったからというのがある。
私は、サンプラーは鍵盤で弾くのが好きなので、パッドを叩くというのはどうも性に合わない。
またサンプラーと言うと、DJとか、ラップとか、トランスとか、そう言う方向に決めつけるのも気に入らない。と、、こうして非常に気難しいのである、、笑
昔、高橋悠治だってコンサートでローランドのS-50を使われたのである!!(*注)
私の場合、ミニ鍵盤でもダメです!これを天才的に弾く方がおられるが、あれは少しおかしいのである。人間のやる技じゃない(少し尊敬)。 人間の指でなぞっていくのに、こんなに小さな面積ではテクニック的に無理があり、実際弾いていて楽しくも何ともない。不器用なものですいませんが。
なので、うちにあるミニ鍵盤モデルは、今年中に売りに出すなどして処分する予定。
これは食わず嫌いではないです。しっかりと3年程度、自宅でもライブでも使った経験から言っています。ピアノをこれからやろうとする方は、間違っても代用でミニ鍵盤を選ばないように強くお願いいたします。標準鍵盤でもコンパクトで軽量かつ音質の我慢出来るものがありますから。それに場所を取り過ぎるなどと文句を言わないで88鍵を選んでくださいね。いちいち、うるさいですが、笑

さて、サンプラーの話。
サンプラーを使いたくなってしまったのは、トンネルヴィジョン・02(小品4曲からなる作品の2曲目)《三人で一つのノイズを演奏する》というパターンです。
ここでどうしても使いたい。ノイズなので、余計な音程は出したくない。
さりとて、ピアノのクラスターだけでは、どうにもつまらない。そこで出番です。
埃を取り払い、抗菌シートでゴシゴシと吹き上げますと、おおっ、新品とは言わないまでも随分綺麗になりました。次に、恐る恐るアダプターを差し込みますと、最初は、暗いままジッとしておりましたが、やがて、仕方なさそうに、ポッとオレンジ色の灯りが点灯しました。凄い!流石国産!!!15年の時を経て棺桶状態から蘇生と。
なかなか風情のある、良きデザインです。少し安物感は否めませんが、、。
これ当時44000円したのですね。こういうサイドメニュー的なツールとしては強気な設定です。
しかし、操作法を忘れたのでネットで取説を引っ張り出して読んでみると(当時は面倒で殆ど読まなかったもので、恥)、これがどうして妥協なき相当な内容です。YAMAHAって掟破りな価格設定を時として行いますが、これも実は、底知れない実力を秘めているようです。新しくサンプラーを買おうと思っていた自分、、でも昔と違ってこうして踏み止まれるようになりました。年寄り故突っ走る元気がない、とも言えるわけですが。
鍵盤モデルではないですが、それでも魅力は十分です。
タイムストレッチや、ディレイ等のエファクツ、スプライスなどが、つまみでリアルに可変出来る上に、それらを使いつつ、リサンプリング可能とある。私は、昔はそこまでは使わなかったと思う。
可変するツマミは面白がって相当グルグルと回しておりましたが、、、笑
シンセより何が良いかって、、、それはもう簡単だからです。
オモチャに近いかな。
メーカーの自己満足的な、機能満載、脳のでかいやつ以外は使うな!と言わんばかりの難しい「現行型シンセ」とは対極、感性だけで使えます。
そう言うことで、次回、こいつを持っていきます。変なやつですが、どうぞ我慢して聴いてあげてください。
*注)
これは実体験です。こういうコンサートが昔はあったのですね。因みにこれは西武デパート内で行われた(西武美術館だったかな?)現代音楽三人衆、揃い踏みってやつで、高橋悠治・ジェフスキー・一柳 慧という何とも凄い自作自演3連発でございました。高橋悠治だけがサンプラーを使い、他二人はピアノで勝負しました。高橋悠治もバッハか何か弾けばよかったのになぁ、、。サンプラーの使い方は、どうも今ひとつだったと記憶しております。
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