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Matsukura Snow(01)

更新日:1月27日

猛暑続きで嫌になるのでこの作品のことを書いて勝手に涼もうと思う。まずMatsukuraとは土地の名前で「松倉」と書く。釜石市の遠野よりに位置する五葉山、愛染山、箱根山の釜石三山の麓に位置する寒く風の強い土地柄である。住所としては甲子町ということになり、甲子小学校の校歌にも出だし「望む愛染雲晴れて」とある。この出だしのイントロのピアノはなかなかの出来で小学生ながらのお気に入りだったが、弾ける先生というと当時担任の万愛子先生だけで、先生がたまに不在で他の先生が弾くとどうにもいけてなくてガッカリしたものだった。この曲の中にはこうしたとりとめのない記憶、土地の風合い、空気感が入っている。どうしてもタイトルから情景描写が主題なのかと思われるかもしれないけれど、実は意外に泥臭くて人間的、感情的な作品だと思う。 この作品の出所は実ははっきりしない。最初にカセットに録音、記録していたのは覚えておりそれを聞いたギター・平田君がこの作品がなかなか良い、というのだけれど譜面もなく大体のカセットがどこに行ったのか分からない。 ただGm(ト短調)であったことのみ記憶にあるのだけれど。それから数年して、私は音楽の仕事で主にBGMの制作をしていたのだが、その時にキャラが強過ぎてボツになった作品があった。丁度使用していたリズムモジュールのTR707.727に古さを感じて(現在は名機に収まっているが)新型のR8に換装して一気に音のクオリティが上がった刹那完成したBGMだった。なので勢いがあり、一筆書きのように流れ出たのだが、それが現在の本作になる。よって、これは本当のオリジナルではない。厳密に表記するなら末尾に「2番」とか付けるべきものかと思う。しかし、オリジナルを忘れてしまったわけなので、まあ良いか!ということなのである、、笑 ただこの作品を扱う際、私は記憶から抜け落ちたオリジナルに想いを馳せることになる。 さて、Matukura Snow(以下MS)はFLAT122で例によって何度も練り直しをしている。残念ながら閉店してしまったペンギンハウスでライブをやっていた頃に、平田君はジミー・ペイジのように弓でギターを弾き、私はローランドのサンプラーSP202にトランペットのフレーズを仕込み、この作品に臨んだことがある。その辺りが最も最良のMSだったと今は判断している。 その後、FLAT122のバンド編成変更の度にこの作品もリアレンジの憂き目にあい、蛇行状態となる。それは他作品にも言えたことだが、今年からリスタートしたFLATではまずはこの旧作達を一旦原点復帰させた上で、精査し必要であれば大ナタ!という流れでここまで来た。鉈具合?で最もなモノと言えば、波濤になるが同じ程度がMSとなる。 波濤はソロパート後の怒涛の展開からエンディングを全て削除してDSしてテーマに戻るように、そしてイントロに戻るという逆回転のような構成で振り出しに戻って事切れるように終わる展開とした。これは元々自分の作風に強い疑問を感じていたことへの回答みたいなものだ。パート過多、展開の複雑さは、本当に必然的なものであればOKだが、何も自分の中心線になる方向性ではなわけで、表現に足る音楽があればグズグズせず作品を終わらせるべきと強く考えるようになったのだが、随分理解が遅い話ではある。さてMSもその考えに則り、唐突にピアノ・テーマから入ってソロ、ブリッジ、テーマ、エンディングと呆れるほどシンプルに変わった。但し、そのテーマは大きく刷新されており、旋律のラインを徹底的に考えたハーモニーに支えられている。ギターとピアノのテーマ、対旋律も交差するように考え、最近弾いて確認する度に「変えることはないだろうな」と心の中で頷く自分です、、笑 こうしてFLATの旧作4点はほぼ改善作業を終えている。9月・11月のライブでは是非この新しい音楽を聴いていただきたいと思う。

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